台本通りに読むべきか、アレンジを加えて読むべきか。
「台本通りに読まない」とは
「え?台本通りに読まないことなんてあるの?」これから声優の道を
目指す方は、そう思うかもしれませんね。
現在、養成所や専門学校に通い演技を学んでいる人は、
台本にアドリブを加えるなど、自身にも経験があるでしょう。
今回はアドリブではなく、台本を読みかえて読むことについて記事にします。
「読み替える」とは
ここで話題にする「読み替える」とは、例えば台本に「ありがとうございます!」
とあった場合に「ありがとう!」といった具合に演技することを言います。
演技に正解は無いとされていますが、このような演技をすることは良いのでしょうか?
台本を読み替える演技が、どのような印象を与えるのか、
講師の指導や私の考察を交えながら次に記します。
台本が伝えるニュアンス
台本はなぜ存在しているのでしょうか。
台本はただ演者が言うセリフが記載されているわけではありません。
私も演技を学ぶ前までは、台本を演じる上でのメモ書きのようなものだと考えていました。
しかし実際はそうではなく、台本とはそれぞれの役を演じる役者の進む道を照らすガイドラインです。
台本には書き手が伝えたい雰囲気が詰まっています。
それを勝手に変えるというのは、オーケストラで指揮者の指揮を無視して自分の好きなように音を出すようなものです。
結果としてその演技が素晴らしいものであったとしても、悪い印象を与えてしまうかもしれません。
読み替えてはいけないのか
それでは、必ずしも台本通りに読まなければいけないのでしょうか?
もちろん。そんなことはないと思います。
実際に声を発し、演技をしているのは声優である私たちです。
そんな私たちにしか感じ取れない雰囲気やイメージもあるでしょう。
ただし、最初から勝手に読み替えるのはやめましょう。
一度、与えられた台本で演技をした後、
「こんな表現もありますがどうでしょうか。」と提案してみましょう。
そうすることで、新しいイメージを伝えられたら素晴らしいですし、自分の提案が通らなくても、台本の意図を深く知るいい機会になると思います。
こんな役者が強い!!
ここからは講師の先生から教わったことを記載します。
突然ですが、次のA,Bのうちどちらの役者が魅力的でしょうか?
A「台本を想定通り完璧に演じたうえで、台本とは別のパターンの演技ができる」
B「演技は良いが台本通りではない演技をする」
あからさまな書き方をしましたが、もちろんAの役者さんの方が魅力的ですよね。
前述した通り、台本には書き手の伝えたいと考えている雰囲気があります。
それを蔑ろにする役者は、どれだけすごい演技をしたとしても、
「あ、この人は台本の演技をする能力は無いんだな」と捉えられることがあります。
もったいないですよね。
ですから、私たち役者は台本通りの演技も完璧に演じきったうえで、別のパターンも提案できるような引出しの多い役者を目指しましょう。
できることが多い役者の方が魅力が強いです。