『話す力』以上に声優に必要な力【実はできていない人が多い!】
声優について知ったつもりでいる人「声優は声の仕事だから話す力を鍛えていればいいんだよ!」
こういった勘違いを皆さんにはしてほしくないので、この記事で解説します。
自分の演技力を向上させるために必要な力は「聞く力」です。
— のんぴ@声優 (@novoicenolife12) 2020年8月9日
他人の演技、自分の演技を適切に評価するためには、正しい物差しが必要。
つまり、「聞く力」を鍛えることで目の前の演技を正しく理解でき、自分の引き出しに変えることができるので「聞く力」は最重要。
✓本記事の内容
『話す力』以上に大切な力
声優は自分の声を使って役を演じる仕事なので、「話す力」はとても大切です。
かっこいい声やかわいい声を出せたり、他の人にはないような特徴的な声を出せたりすることは、声優という仕事をする上で、とても魅力的な個性です。
しかし、これほど重要な「話す力」よりも必要な力があります。
それは「聞く力」です。
『聞く力』が必要な理由
「聞く力」は声優にとって最も重要です。
なぜなら、自分が発した音が正しい音なのかを聞き分ける必要があるからです。
みなさんはアクセントというものがあるのをご存じですよね?
私たち声のプロは正しいアクセントを用いて言葉を話さなければなりません。
そこで重要となるのが「聞く力」です。
具体例を出しつつ解説します。
例:「声優高校はナレーション高校を倒し、関東代表決定戦に駒を進めました。」
この一文を声に出して読んでみてください。
アクセントの種類が複数ある単語を2種類使用して文を構成してみました。
どの単語かわかりますか?
答えは「決定戦」と「駒」です。
アクセントについては長くなるので、また別の記事にしたいと思いますが、「聞く力」を鍛えると文を読むと「あれ?違和感があるな。」と気づくことができます。
この違和感を感じることが大切です。違和感を感じることができれば、自分で正しいアクセントを調べることができるので、修正することができます。
どれだけ「話す力」がすごくても、正しく話せていなければ意味がありません。
正しく話すためには「聞く力」が大切なのです。
『聞く力』を身に着ける方法
知識の無い状態で「聞く力」を身につけるのは難しいです。
「涓滴岩を穿つ」ということわざを知っていますか?
もし、あなたがこの言葉を知らないときどうしますか?
今ではネットで検索すれば簡単にわかる時代ですので、多くの人はスマホを取り出し、SafariやGoogleChromeで検索するかもしれませんね。
しかし、その情報のベースとなっているのは「国語辞典」ではないですか?
このように知らない言葉を正しい手段で調べることで「国語力」が身につきます。
「聞く力」も同様です。正しいアクセントを知り、一つずつ覚えていくことで確実に身についていきます。
(ちなみに、「涓滴岩を穿つ(けんてきいわをうがつ)」ということわざは水滴のようなわずかな力でも継続して加えていれば岩に穴をあける、すなわち、わずかな努力でも続けていればいづれ成果につながるという例えです。いい言葉ですよね。)
「じゃあ、正しいアクセントってどこで調べるの?ネットで調べてもどれを信じればいいのかよくわからないよ!!」
「聞く力」を高めるために必須のアイテムは「アクセント辞典」です。
これはその名の通り、国語力を高めるための国語辞典のようなもので、単語の正しい読み方や正しいアクセント、前後に続く単語によってどのようにアクセントが変わるかなど、声優にとって必要な知識が詰まった辞書です。
この辞書を使って、普段自分が発している単語やアニメ・小説に出てきた単語などを調べてみてください。そしてその単語の正しい読み方を学んでください。
そのように正しいアクセントの知識を積み重ねると他人の演技を見たり、自分の演技を客観視したりした時に正しくないアクセントが耳に届くと「アレ…?」と違和感を覚えるはずです。
そこで、もう一度正しいアクセントを調べ直し、次の演技に繋げることができると、役者として1段階レベルアップできますよ。
私は大学生の頃に購入した電子辞書に入っていた「NHK日本語発音アクセント辞典 新版」を使っています。電子辞書ですと持ち運びが便利ですが、値段が高いのがデメリットです。
参考までに、正しいアクセントが載ったアクセント辞典を下記に紹介します。声優や俳優、アナウンサーやナレーターを目指す人は1冊持っておいた方が良いものですので、是非ご覧になってみてください。
この1冊全部覚えられたら、間違いなくあなたは日本有数のアクセントマスターになれるでしょう!!(多すぎて私には覚えられないんだけどね…笑)
「NHK日本語発音アクセント新辞典」
もっともメジャーに使われているアクセント辞典です。
収録されている単語数は約7万5千語。
単語の読みだけでなく、数の単位によって変化するアクセント(5本や5人など)が幅広く網羅されている1冊です。その分お値段もやや高めとなっています。
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「新明解日本語アクセント辞典 第2版 CD付き」
アクセント研究で著名な東京大学の言語学者監修のもと作られている新明解シリーズのアクセント辞典です。
こちらも収録されている単語数は7万5千語ほど。
特徴はCDがついていることで、視覚では理解しきれない部分も音声で聞くことで簡単に知ることができます。
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「NHK日本語発音アクセント辞典 新版」
こちらもNHKが監修しているアクセント辞典ですが、改定時期が少し古いため、収録されている単語数は6万9千語となっています。
やはり、最新の辞書をもっていた方がよいですが、こちらでも十分力になるのと、値段が比較的安いという点でご紹介しました。